AIが歪んだ色を正しく直す

照明の影響で狂った画像の色を、AIが自動で補正し、本来の色へと近づけます。

人間が持つ色恒常性の仕組みをAIに再現し、機械が“正しい色”を理解できるようにする研究です。

AIによる補正によって色が本来の姿に近づいた様子を、実際の画像と補正後の画像を見比べて確認してみてください。

詳しく理解する

なぜ人の目は“色”を正しく見られるの?

私たちの目は、照明が変わっても物の“本当の色”を見分けられます。

これは、脳が自動的に色を補正してくれているからです。

この性質を「色恒常性」と言います。

色恒常性の図

色が狂うと、何が困るの?

このトマト、熟していると思いますか?

下の画像は、黄色い照明の下で撮影されたトマトです。左側にはその一部の色(RGB値)が表示されています。

この左側の色だけを見て、熟しているかどうかを判断するのはとても難しいですよね。

実際、カメラや機械はこのような「照明の影響を受けた状態」のままで判断していることが多く、誤った判断につながってしまいます。

正しい色の必要性

こうした問題は、色の正確な判断が必要な現場で特に深刻です。

どうしてAIを使うのか?

ロボットの画像

AIはどうやって“本当の色”を知るの?

  1. 画像から「光の色」を見抜く

    全体の色味(たとえば青っぽさや黄ばみ)から、照明の傾向を推定します。

  2. 中立な光に変換する

    見えている色から逆算し、「本来この色なら照明はこうだったはず」と推論。

    その照明を“白色光”に近づけるよう、画像全体の色を変換します。

  3. 全体を補正して“本来の色”を再現

    すべてのピクセルに補正を適用し、自然な色合いに仕上げます。

まとめ:

AIは、色の“ゆがみ”を見抜き、それを打ち消すように補正して「ありのままの色」を再現します。

ぜひ体験して見比べてみてください

AIはどうやって学ぶの?

  1. いろいろな照明条件の画像(例:晴れ・曇り・蛍光灯など)を集める。
  2. それぞれの画像に「このときの本当の照明の色」を正解として与える。
  3. AIが、「どんな色味=どんな照明か」のパターンを学習する。
  4. 新しい画像でも、見た色から照明の色を推定できるようになる。

つまり、AIは「見え方」から「照らしている光の色」を逆算するスキルを身につけます。

このとき、照明の“正解”を正確に得るためにカラーチェッカーが使われます。カラーチェッカーは、本来の色が印刷されたチャートで、照明による色のゆがみを正しく測るための基準になります。

カラーチェッカーの画像